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第449回『逆説の世界史③ギリシャ神話と多神教文明の衝突』井沢元彦

 

<多神教の中の多神教日本教>

 

世界の宗教には一神教と多神教があります。
多神教は一神教に比べて古い宗教であり、弱い宗教なのだそうです。
ローマ帝国は古くは多神教でしたが新興の一神教キリスト教に駆逐されました。
代表的な一神教はキリスト教、イスラム教。
対する多神教はヒンズー教、そして仏教も多神教だそうです。

 

 

日本人の宗教は神道を基にする「日本教」ともいうべき多神教なのだそうです。
日本人は元々神道の信徒でありながら仏教を受け入れ、キリスト教も受け入れました。
しかし、そのままではなく、日本流にアレンジして。
たとえばキリスト教のクリスマスは日本の季節行事としてすっかり定着しました。
しかし、本来の意味「イエス・キリストの生誕を祝う」という概念がすっかり抜け落ちています。
これは、他のバレンタインデーやハロウィンも同じです。
本来の意味も知らず、日本流にアレンジして浮かれ騒いでいます。

 

 

たとえば仏教はどのようにアレンジされ、取り入れられたか。
神道においては穢れというものが忌み嫌われます。特に死穢は最も扱いたくないものでした。
そこで、外来の仏教に死穢の扱い=葬式その他を任せてしまいました。
日本教は実に多神教の中の多神教なのだそうです。
強い多神教、日本教は外来の神を造り変えることによって身内に取り込む。
そうして今日まで生き延びて来たようです。
おそるべし日本教。

 

 

 

<大乗仏教vs上座部仏教>

 

上座部仏教は以前は小乗仏教と呼ばれていました。
大乗仏教が衆生の救済を目的としているのに対して、
上座部仏教は出家と修行による悟り得ることを目的としており、
悟りを開いた人が特に衆生を救済するわけではありません。
そんな宗教が世界宗教として支持を得られることはないと思うのですが、
現在東南アジア(タイ、ミャンマーなど)で信仰されているのは上座部仏教です。
初期仏教、ブッダことゴータマ・シッダールタが悟りを開いたそれは
もちろん上座部仏教であったろうと思われます。
彼は、人生の真理を究明したのでこれでもう死んでもいいと思ったそうで、
その教えを衆生に広めようなどという気はなかったようです。
何となく、儒教の始祖孔子が言ったという「朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり」
という言葉を思い起こさせるのではないでしょうか。

 

 

日本の仏教はもちろん大乗仏教です。
中でも親鸞聖人を開祖とする浄土真宗は、
阿弥陀如来の本願にすがれば悪人も正機(救済)されるという、
いわば究極の大乗仏教と言えるでしょう。
いやいや、弥勒信仰というのもありましたっけ。
兜率天で修業中の弥勒菩薩は釈迦の入滅後、5億7600万年後に悟りを開いて如来となり、
96億+94億+92億の衆生を救うといわれています。
これくらい多いと満寿夫も救ってもらえるでしょうか。(^_^;)

 

 

 

<ギリシャの多神教文明とアレクサンドロスの帝国>

 

ギリシャ文明は多神教を信仰していました。いわゆるギリシャ神話の神々たちです。
ゼウス、ポセイドン、アポロン、アテナ、ヘラクレス、プロメテウス…
しかし、つい最近までその信仰は途絶えていたそうです。
フランスのクーベルタン男爵が古代オリンピックを近代に再興させたことによって、
ギリシャ人に古代の神々への信仰を復活させたようです。
日本人も素晴らしい神話を持ちながら、きわめて関心が薄いのとよく似ています。
将来、その素晴らしさを外国人が発見、評価して世界に広め、
それによって日本人が日本神話を再認識する日が来るでしょうか。

 

 

アレクサンドロス大王が築いた大帝国が画期的だったことは、
征服した土地の信仰を尊重したことだということです。
大航海時代のヨーロッパ諸国が征服した土地の宗教を破壊、根絶し、
問答無用にキリスト教を押し付けたのとは大違いと言えます。
アレクサンドロスは若い頃、哲学者アリストテレスの教えを受けています。
父王のフィリッポスが息子の家庭教師として招きました。
人口数万人程度の都市国家を理想としたアリストテレスと、
多民族を包含した大帝国は一見正反対のようにも見えますが、
そこにはやはりアリストテレスの教えも生かされている。と井沢先生は説きます。
それはアリストテレスの師プラトンの唱える「イデア論」の批判…
ということですが、詳しくは本書をお読みください。(^_^;)

 

 

満寿夫でした。

 


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