第404回『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ 前のページへ戻る

2017年のノーベル文学賞を受賞した日系イギリス人カズオ・イシグロの作品です。

受賞後、書店には特設コーナーが設けられるなどして活況を呈していました。

満寿夫もとりあえず1冊買ってみたのですが、なんとつい最近まで積ん読状態でした。(^_^;)

先日、一年以上かけてやっと読了しました。 そういえば昨年(2018年)のノーベル文学賞は事情があって見送られたとか。

今年はどうなるでしょうか。

 

第404回『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

物語の主人公たちは臓器移植用に養育されたクローン人間だということです。

そのことは物語の終盤あたりでやっと明らかになります。

それまでは養育施設での少年少女たちの暮らしぶりが延々と語られます。

しかし、何となく異質なもの、特に将来に対する暗い影のようなものが、行間から漂ってきます。

「提供者」「介護人」「保護管」等々、意味深な職名が胸を締め付けます。

そしてそれが読み進むにつれてだんだん強くなっていきます。

 

臓器移植は、一昔前は「拒絶反応」の問題があって、非常に難しい問題でした。

「提供者」はクローン人間ということなので、オリジナルがあるのでしょうか。

オリジナルの人にとってはもちろん拒絶反応はないでしょうが、 物語では「提供者」は2~4回の「提供」をして使命を終える、とありましたので、 どうもオリジナル以外の人にも「提供」しているようにも思えます。

拒絶反応はうまく克服できたのでしょうか。

 

何となく田中光二の『さらば人間』のような話だな。という印象です。

『さらば人間』では、とある大富豪が自分自身の臓器移植用のために、 孤児を引き取って養育するという話でしたが、 『わたしを離さないで』はそれが社会全体で行われている社会、といえるでしょうか。

クローン人間には人権はないのか。職業選択の自由は保障されないのか。 映画『ブレードランナー』の人造人間レプリカントも似たような問題を内包していましたっけ。

被造物である人間が造物主である神に反逆するという物語は、 旧約聖書をはじめ手を変え品を変え色々と語られていますね。

 

第404回『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

臓器移植は近年、山中教授のiPS細胞の樹立により、一気に道が開けたような気がします。

iPS細胞は幹細胞と呼ばれる、どの組織にも分化できる細胞なので、 いわばクローン臓器ともいえるものが生成可能になるのではないかと思われます。

臓器移植の苦悩が過去のものになる日が早く訪れると良いと思うものです。

 

ウメは大方散ってしまいました。

まあ、実は期待できそうにはありませんね。(^_^;)

ボケは3分咲きぐらいでしょうか。例年より少ないような気がします。

剪定もしたし、今年も期待しているのですが、どうでしょうか。

 

第404回『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

第404回『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

 

満寿夫でした。

 


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